五嶋アケミ ☆ 職業:役者

スペイン・バルセロナで役者修行中

コーヒーが冷めないうちに

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イースター休暇最終日。街は車もなく、がらがら。

イースター休暇最終日。今日はLunes de Pascuaイースター・マンディで、バルセロナのあるカタルーニャ州では祝日だけど、他の地方では祝日ではない。

遅起き(早起きの反対)をして、軽くジョギング、ストレッチ。シャワーを浴びて、近所のカフェへ直行。近所のオーガニック・パン屋さんの奥にあるカフェ・スペース。パン屋さんには前から気づいていたけど、カフェ・スペースに気がついたのは今朝のジョギング中だった。

先日、コーヒーで胸焼けをしたことを書いたけれど、「これから先、このままコーヒーが飲めなくちゃうのかな?」と疑問/不安に思って、ここで豆乳入りのコーヒーを注文する。全く胸焼けがしない上に、とてもおいしいコーヒーだった。一緒に頼んだ全粒粉のマドレーヌも甘すぎず、おいしかった。

パンを買いに来る人を何気なく眺めながら、集中して本が読める。とても静かな上、人物観察も出来る。パンの頼み方ひとつにしても、買う人の性格が結構出ておもしろい。お気に入りの場所になりそう。近所に居心地のいいカフェを探していたので、本当にうれしい。

今日は「コーヒーが冷めないうちに」の小説版を読む。ダーリンが所属している市民劇団の次回の上演作品。今朝Kindleで購入した。 

コーヒーが冷めないうちに

コーヒーが冷めないうちに

 

読み終わってAmazonの書評にほとんど炎上に近いくらいの厳しい評価が並んでいることに気がついてびっくりしてしまった。

私はKindleだから新品で買っているけれど、「買って後悔した」作品ではなかった。あえて言えばもう「演じる側」の視点で見ている。登場人物の全体像、作品内でのそれぞれの役の役割、内面の葛藤などの分析。キーワードとなる台詞はどれか。登場人物の呼吸や姿勢、癖など、身体的特徴は何か。で、小説と言う視点では見ていなかったけれど、確かに小説として読むといいたいことは出てくる。

「4回泣けます」というキャッチコピーは小説でも舞台台本でもマーケティング的には冒険しすぎかな。泣けない人もいるだろうし。そもそも泣ける泣けないはあまり重要でないと思う。

登場人物の名前がちょっとわかりにくい。舞台作品になったら、観客は演者を見るから、名前に関係なく話についていかれるけれど、小説では人物の変わりになって動くから重要だと感じた。

疑問が出た設定がいくつかあった。疑問のまま放りっぱなしになっていて、そこはもう少し書き込んで欲しかった。(ワンピースの女と喫茶店のかかわり、流と数が北海道に行った理由、よく食べる妹は何であそこまで食べる必要があったのか、など)

第1話の「恋人」の設定は、私が担当だったら書き直しを提案したい。二美子の「本当に本当に本当に過去に戻る必要がある」という必要性があまり感じられず、逆に何でも手に入れてきた女の傲慢さとわがままを感じてしまった。1週間前に戻して欲しいという緊急性が低いと思う。二美子にあんまり共感できない。日本中のキャリア・ウーマン代表でこの話に登場しているんだから、ここでキャリア・ウーマン組の読者に共感してもらえなかったら、彼女らは去っていくだろう。

第4話になるにつれて、筆者の洞察が深くなっているから、全体的に書き直したら、もっといい作品になっただろうと思う。

小説の中に人物像の詳しい描写が少なかったので、細かい部分は演者の理解で自由に演じられるかなと思った。台詞が少ないので、黙っている時の演技に気をつけないと。舞台の作品から小説が出来たようだけど、フラッシュバックのシーンも結構多いから、映像のほうが表現しやすいのではないか。

いくつかあるタイム・トラベル成功の為のルールは、多分何度か説明しないと観客にわかりにくいだろうけれど、果たしてどうやって?自分としては「ルール説明係」という役を作って前に出す。その人が説明している間は、他の出演者は静止(ストップ・モーション)する、係が引っ込んだら芝居を続けるっていうの、いいんじゃないかなと思う。

ただ、台本と小説ではずいぶんと違う部分があるようで、その台本を自分はまだ読まないで劇化へのアイデアを書いているんだけれど。

作品は「別れに伴う後悔」をテーマにしている。一生懸命生きた人間から、「別れ」て初めて気がついた、というかこぼれ落ちた「後悔」を拾って、それを多角的に書いている。ひとつの事象が図らずも不本意な方向にも進んでしまったけれど、別の視点ではいい結果を出すきっかけになっていることに気がつかさせてくれる。小説の中の「現実は変わらないけれど、心が変わった」という文に現れていると思う。

設定が大まかだから、見る人読む人の「別れに伴う後悔」の経験によって感想が変わってくるかと思う。芝居のストーリーという骨組みに観客が自分の経験を肉付けしながら観ていく感じ。こういう作品はストーリーがそぎ落とされてシンプルになればなるほど観客が作品と一体化できる。登場人物が多いので、観客・読者は誰と共感できるかによって、自分が見えてくるだろう。

大人のためのファンタジー。ここでの「大人」をどう定義するか、「どうにもできない現実を知っている人」かな。時間は止められず、現実は変わらないけれど、心を変えることで、もう少し生きやすくなれるという事実を「タイム・トラベル」というファンタジーを加えたお話にしている。

ところでコーヒーに絡んで、午後、別のカフェに行って、豆乳入りのコーヒーを注文した。そうしたら、胸焼けしてしまい、半分も飲めなかった。コーヒーに因るということがよくわかった。近所のカフェで飲めるコーヒーがあってうれしい。