言葉はひとつの媒体に過ぎない

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昨日からトレーニングに、アナAna San Martínという新しいメンバーが加わった。バルセロナのヴィクトリア劇場で上演されているScaramouche(スカラムーシュ)に出演している26歳。私たちのトレーナーのエレナが、ガリシア生まれの彼女のカタラン語の発音指導を担当した縁で、毎週月曜日に私たちのトレーニングに加わることになった。

昨日のトレーニングは、ボールを使った。走りながら相手にボールをパスする。その時、自分の呼吸と動きをボールに合わせること。最初は無言で相手に渡す、次に相手の名前呼んで、それからもらった時に自分の名前を呼んで。長い音で渡したいときは、それなりの助走をつけること。腕で受け止めず、体全部を使って受け止める。ボールに自分の目を与える、ボールが相手を見ていることを確認。

次に台詞や歌を入れて行う。自分にボールが来たときだけ、自分の台詞を言う。ボールの持っている雰囲気に答えるように、台詞を言うこと。

トレーナーのエレナは、私の動きについて、「相手からもらったものを、その大きさのまま受け止められる。でも相手に返すときは、その大きさで返していない。相手に配慮しているのか、遠慮しているのかが見える。腰が引けている。」とコメントした。

鋭い指摘だ。自分でも気がつかなかったけれど、言われてみればそういうところがある。体当たりでぶつかるように指導され、気をつけているうちに「よくなってる」と言われた。

アナの番になった。彼女は歌を歌った。ものすごくきれいな声で。天使の歌声。澄んでどこまでも届くような声。何の障害物も感じない。彼女は歌と体をつなげるように指摘された。彼女の動きと呼吸と歌がシンクロしたとき、まるで音が踊りだしたような感じを受けた。

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それから、次のトレーニング。自分が一番恥ずかしく、かつ誰にも話していない出来事を、勝手に作った言語で、みんなに説明する、と言うものだった。このトレーニングを通して、学んだこと…、

  • 言葉とはひとつの媒体に過ぎない。何を言っているのかわからなくても、感情がそこにあれば、相手に伝わる。その感情を呼び起こす行動を大切に。この言葉がいいにくいとか、せりふに文句をつけたいときがあっても、伝えたい感情さえしっかりしていれば、伝わる。
  • 劇場とは演者と観客との間で、何かを共有する場所。個人の持つ感情に支配されて自分の世界に入ってしまったら、それは伝わらない。自分ひとりで悲しみに入り込む場所ではない。その悲しみの観客と共有する場所であることを忘れずに。

そして、呼吸。今日一日のトレーニングで、今まで呼吸の出入り口である、鼻と口にばかり気をとられていたけれど、横隔膜の動きに注意を払うことがおろそかになっていたことに気がついた。気をつける。