五嶋アケミ ☆ 職業:役者

スペイン・バルセロナで役者修行中

メルセデス

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美容院のお姉さんに薦められて、ヘアマニキュアをした。マニキュアを頭に塗ったら30分待たなくちゃいけないんだけど、家がすごく近いので一旦うちに帰った。この近さ、最高。お姉さんはゲラゲラ笑っていた。「こんな客は初めて!」前髪をやっぱり切ってもらう。セットしてもらったら、すごーくかわいくなった。自分で言うのもなんだけど。

帰ってきて、ミオに電話した。「どう?」「ぼろぼろ。うちにいるけど、何も手につかなくて。」「当然だよね。よかったら今週末会いに行くよ。泊まるけど、いい?」「ホント?来て来て!泊まって行ってよ。ゆっくり話そう!」まだ自分の友達のために出来ることがあった。

元夫から仕事の連絡があって、彼の叔母さんのメルセデスが原因不明の大出血で救急車で運ばれて、ICUにいるって知らされた。メルセデスは私たちが別れた後もいつも私を応援してくれて、Facebookに何か載せるたびに、必ずコメントしてくれていた。会いに行かなくては!

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病院に行ったら、受付で「ICUの面会時間は15時半で終了です。次は19時からです。」と。着いた時間は15時45分。19時には次のレッスンがあるからそれまで待てない。受付の人は規則なので断固として時間を守るように言う。ちなみに受付の番人は白髪の痩せ型の女性で、ハイジのロッテンマイヤーさんみたいな感じ。規律に厳しそうだ。「ちょっとだけ顔を見るだけでいいんです。今晩バルセロナを離れるから、もう会えないかも知れない。静かに会って、すぐに帰ります。他の人に迷惑はかけません。明日の手術で何かあったら、私は一生彼女に会えないかも知れない。最後のチャンスかも知れないんです!」どんどん湧き上がる設定のイマジネーション。役者でよかった。がんばって食い下がったら「ICUのナースステーションと話してください。」と、場所を教えてくれた。

ICU入り口の教えられたインターフォンを押しても、誰も出てこない。もう一度押す、誰も出てこない。ああ、やっぱりここはICUなんだ。重病の人がたくさんいて、生きるか死ぬかの闘いの最中なんだろう。こんなわがままな面会者はシャットアウトするのも当然だ。メルセデスもすごく具合が悪いのかな。何で時間を調べてこなかったんだろう。すぐに飛び出してしまうのはいつもの私の悪い癖だ。あぁ。。。。でも、もう一度インターフォンを押してみよう!

そうしたら、人が出てきた!

「すみません、面会したいんですけど。面会時間が終わったのはわかっています。でも今晩にはバルセロナを離れるから、今しかないんです。ちょっとの時間でいいので。」「誰に?」「メルセデス」「5号室にいるわよ」あっけなく、通してくれた。

ドアを開けると、メルセデスがベッドに寝ていた。顔色もよく、いつものまんまだった。「アケミ~!」「メルセデス~!」涙の再会の感動は最初の5分。思い出した、メルセデスはよくしゃべるんだった。。。。。

メルセデス、夫のぺぺ、娘のマルで構成されるこの家族はとにかく3人ともが同時によくしゃべる。ここのうちに行くと誰の話を聞いたらいいのか困るくらい3人ともが同時によくしゃべる。今日はメルセデスだけだからまだ楽だ。ちょっとの予定が30分ぐらいで大演説になってきたので、ナースが点滴を交換しに入ってきたタイミングに出ることにした。

でも相変わらずで本当によかった。貧血なのに、息切れもせず話していたし。懐かしい思い出話とみんなの近況を聞いて楽しい時間が過ごせた。何よりも元気そうで安心した。受付のロッテンマイヤーさんに感謝を伝えて、病院を出た。