テネシー・ウィリアムス

f:id:akemigoto:20170405061226j:plain

今日もCMのオーディションがあった。このキャスティング事務所は、たいてい大勢すぎる候補者を呼んで、たいていよく待たされるので、朝一番に行った。カメラの前に立って、自己紹介をしたら「あけみ、何歳だっけ?その年齢に見えないから、いいわ、おしまい。」と、演技もさせてもらえず帰された。複雑な心境…。

 別に若く見せようとしている訳じゃないし!せっかく朝から気合で行ったのに!ここまで来るのに、どれぐらいの時間がかかったか知ってるの!?私の時間を返して!などなどぶつぶつ頭の中で愚痴っていたら、さっきのオーディションで一緒だった男の人(35歳ぐらい?)とメトロの駅で一緒になった。私のすぐ後にテストしてもらっていた人。

「演技もさせてくれなかった!」「僕は演技させてもらったけど、あっけなく終わった…。」

彼は英語のネイティブで、スペイン語はほんの少ししか話さない。11年前に旅行でバルセロナに来たことがある。3日間ぐらいいたかな。今はここに来て、2ヶ月ぐらい。アドベンチャーさ。一応、モデルなんだけど。今日もオーディションのはしごだ。そんなことを彼のつたないスペイン語と私のつたない英語で話していたら、何だかすごくおかしくなって、二人でげらげら笑って、じゃ、またどこかのオーディションで!と、次の駅で別れた。

ま、テストさせてもらったところで、受からなかったってことだ!

夜は1人芝居 「La vida secreta de Tennessee Williams“ (テネシー・ウィリアムスの秘められた人生)」を見に行く。圧巻だった。2時間のモノローグ。カタラン語だったから、台詞の詳細は聞き逃しているだろうけど、すばらしい演技だった。今日は特に地元(Girona)から親しい仲間たちがグループで来ていたらしく、さらに熱がこもっていたようだ。

テネシー・ウィリアムスってこういう人だったんだ、と素直に思えた。彼の生い立ち、成功、苦悩、なんていうものがずっとモノローグで語られている。最初はパリッとした身なりのダンディな彼が、髪をかきむしり、お酒を浴びるように飲み、1人で涙にくれ、1人で怒り、だんだんと崩れていく。一作一作を発表するごとに、無言の圧力のねじが締められていく。彼の部屋をのぞいているような居心地の悪さを感じながら、目をそらすことが出来なかった。

テネシー・ウィリアムスは脚本家として才能があり、努力もしていた。だからと言って、好きで楽しいことをしていたわけでは決してないと思った。自分の身を削りながら本を書いていたことがよくわかった。

espectaculosbcn.com